松江市内2

投稿者: | 2010年10月26日

松江市内
○撮影場所:松江市 ○PEN E-P2 with LUMIX 14-45mm

 26日の日経に「組み換え穀物急増に対応を」という社説が掲載された。
 詳細は別として、従来品種確保にかかるコストを価格への転嫁で消費者にしっかりと求めている点は非常に評価できる。

 消費者が求める安全安心な農産物を供給し、さらには環境も保全しながら永続的に営んでいける農業には、それなりのコストがかかり、生産者だけの努力では成り立ちえないことを社会(生活者)は理解してほしい。互いに支え合っていく経済構造になっていくべきである。

 米国を中心に遺伝子組み換え穀物の作付けが拡大している。従来品種に比べた生産性の高さに加え、世界の種子市場での大手寡占が影響している。商社や食品企業は従来品種の確保策を急がないと、食品原料で日本の消費者の選択肢は狭まる。
 米農務省によると、今年の同国の作付面積に占める遺伝子組み換え品種の比率はトウモロコシが全体の86%、大豆が93%まで上昇した。大豆の比率は、民間機関の調べで世界全体でも8割近くに広がっている。
 遺伝子組み換え品種は、農作物に害虫や除草剤に強い遺伝子を人工的に加える。農家は害虫被害などが減るため安定した収量が期待でき、除草剤の散布も少なくてすむ。
 世界の種子市場は米国のモンサントとデュポン、スイスのシンジェンタ3社による寡占が進む。種子大手は付加価値の高い組み換え品種の販売に力を入れており、主食のパンに使うため導入に慎重だった小麦でも品種開発が進む。
 急速な普及を踏まえ、日本など160カ国・地域は今月、組み換え品種が生え広がり、生態系に影響を与えた場合は輸入企業などが原状回復の責任を負うことで合意した。
 日本はトウモロコシの全量、大豆も9割以上を輸入に頼り、海外で組み換え品種が広がる影響は欧州などより大きい。飼料用を含め日本が昨年消費した1600万トン強のトウモロコシのうち、従来品種の量は200万トンほどに減少。豆腐などに使う大豆も調達が難しくなっている。
 農業の生産性を高める遺伝子組み換え技術は、世界の穀物需要を満たす有効な手段になり得る。一方、組み換え品種が厳格な安全性審査を経て商業化されても、国内に従来品種を原料に使った食品を求める消費者が多いのも事実だ。
 全国農業協同組合連合会は従来品種のトウモロコシの安定調達に向け、米国の生産者と契約した。大豆などの自給率を上げると同時に、企業が海外産地で種子と生産者、組み換え品種が混入しない流通経路という3段階で早急に対応を進めれば従来品種の確保は可能だ。
 日本の消費者も従来品種にこだわる以上、コスト増に見合った価格高への理解を求められる。